生殖医療現場における医師および看護師からの支援ニーズ
-不妊治療経験者の視点から-
支援対話研究 20216年 3 巻 p.3-14
著者: 秋月 百合
キーワード: 不妊治療, 患者支援, 質的研究
抄録
目的:本研究の目的は、不妊治療現場において、患者が求める医師および看護師への支援内容を質的に明らかにすることである。 方法:機縁法にて研究協力の承諾を得た不妊治療経験者の女性34名を対象に、自由記述式調査票にて、医師および看護師に希望する支援内容を記述してもらった。意味内容の類似しているオリジナルデータをカテゴリー化することで、質的に分析した。 結果:医師に求める支援内容として、【個々の患者に最適な治療の実施】【具体的でわかりやすく十分な説明にもとづくインフォームドコンセント】【専門家としてのリーダーシップを持ち合わせた患者との協同的コミュニケーション】【事務的でなく、患者個人への関心に導かれた親身な態度での診療】の4つのカテゴリーが抽出された。一方、看護師へ求める支援内容としては、【人間的温かみをもった気遣いのある対応】【受容的態度にもとづく心理的援助】【医師-患者間コミュニケーションの支援】【処置などに関する十分な説明】の4つのカテゴリーが抽出された。いずれのカテゴリーも1つから複数のサブカテゴリーで構成されていた。 結論:本研究により、不妊治療現場における医師および看護師に求められる支援内容が、患者の視点から明らかになった。必ず妊娠に至る保証のない不妊治療の現場において、これらの結果を医師と看護師が協働しながら患者支援に生かしていくことで、患者の心理的安寧に少しでも寄与することができるのではないか。
掲載元:生殖医療現場における医師および看護師からの支援ニーズ-不妊治療経験者の視点から-