ポジティブ・ディビアンス:より良い社会課題解決に向けてMMRを活用するアプローチ

混合研究法 2022 年 1 巻 2 号 p. 68-84
著者:
河村 洋子

キーワード: ポジティブ・ディビアンス、混合研究法、社会課題解決、行動変容、社会変革

抄録

ポジティブ・ディビアンス(PD)とは、「社会や組織を変えるためのアプローチで、コミュニティがすでに持っている知恵を発見し、それに基づいて行動することを可能にするもの」と定義される。1990 年代にベトナムで子どもの低栄養の問題に対してこの概念が社会課題を解決するためのアプローチとして確立されて以降、複雑な社会課題に活用されている成果を上げてきた。PD を実際に課題解決のアプローチとして活用する際には、量的、質的調査手法を用いて進める必要があるため、混合研究法(MMR)との親和性が高い。相互の理解が進むことで、社会課題実践と研究がより近づき、研究活動の現場での活用度と実践性の高い知見の創出が促進されるだけではなく、PD の活用で求められる思考の転換によって、学術的にも新規性の高い成果が期待できる。本稿は2021 年10 月に開催された国際混合研究法学会混合アジア地域大会のプレカンファレンスワークショップで、著者が多くの MMR 研究者が PD を自らの研究活動に取り入れていくことを狙って、MMR との関係性の中で PD を紹介し、研究実践に取り入れていただくことを提案した内容を整理したものである。

掲載元:ポジティブ・ディビアンス:より良い社会課題解決に向けてMMRを活用するアプローチ

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