NVivo 15 AI アシスタント

2024年9月にリリースされた最新版NVivo 15から、生成AIによる研究支援機能、「AI アシスタント」が使えるようになりました。AI アシスタントの主な機能を紹介します。

AI アシスタント 機能拡張

2025年1月にリリースされたアップデートでAI アシスタントが機能拡張されました。

AI アシスタント以外の拡張点も含め、詳細はNVivoヘルプでご確認ください。
NVivo (Windows) 15.1.1 What’s New(NVivo Helpへ移動)
NVivo (Mac) 15.1.0 What’s New(NVivo Helpへ移動)


NVivo 15 では、約 1000 ページ分のトークンまで追加費用なく使用できます*ので、NVivo 15をお使いの方はまずはお試しになってみてください。使用量の上限を超えた後は有料オプションの購入が必要です。
*日本語文章では 1000 ページ分=約 68 万字 ~ 204 万字と想定されています

AI アシスタント

  • AI アシスタントはユーザー主導のプロセスです
    • AIに何を指示するか、生成された内容を採用するかは、常にユーザーが判断します。主体はあくまでもユーザーで、AIはその作業を支援します。*ログアウトした状態ではAI アシスタントは使用できません*
  • データの安全性を重視しています
    • AIによる生成のためにデータを外部のサーバーに送信しますが、生成したコンテンツがNVivo プロジェクトに送信された後、すべての情報がサーバーから削除されます。
      AI アシスタント使用時には利用規約を読んで同意する必要がありますので、詳しくはそちらをご覧ください。

AI アシスタントの機能

要約

選択したファイルやテキストの一部を対象に要約を生成します。要約の言語を選択できるので、英語の論文を日本語で要約するなど、多言語のニーズに対応します。

ドキュメント全体の要約

テキストファイル や PDF ファイルの内容を要約し、リンクメモとして保存します。メモには「AI」と明示し、ユーザーが書いたメモと区別できるようになっています。メモとして保存する前にプレビューを確認できますので、要約に満足できない場合は再生成できます。複数のドキュメントに対して一度に要約生成を指示し、一件ずつプレビューを確認できます。
保存された要約は「AI サマリ」フォルダー内に保存され、後で自分の考えを追加するなどの編集も可能です。


選択したテキストの要約

ドキュメント内のテキストの一部を好みの言語と長さで自動的に要約できます。 要約されたテキストは、選択したテキストとリンクした注釈として保存されます。
また、専門用語などに対して選択してテキストの要約機能を使うと、AI がその用語の説明を生成します。

コードの要約

ファイルと同様にコードに割り当てられたリファレンスを要約できるようになりました。操作や設定項目は共通です。

コードの要約 – Windows
コードの要約 – Mac

ケースの要約

人や文献、組織など、分析単位ごとに関連する情報を集約できる「ケース」は、一人の対象に複数回インタビューを実施した場合など、複数のトランスクリプトをまとめて管理したり、対象者の属性を紐づけるなど、NVivoのプロジェクトではよく使われる機能です。
このケースも要約の対象にできるようになりました。(Windowsのみ 202501現在)


コーディング支援

子コードの提案

既存のコードの一階層下のコードを AI アシスタントが提案します。各コードに対する AI の提案内容はプレビューとして表示され、採用する子コードを選択できます。

子コード名の言語選択が可能に

リリース時点では英語のみで出力されていた子コード名の言語を選択できるようになりました。(Windowsのみ 202501現在)
英語のデータを日本語のコード名で分類するなど、より柔軟に使えそうですね。


実体験からのヒント: 無料使用の範囲

NVivo 15をお使いの方は、約 1000 ページ分のトークンまでAI アシスタントを追加費用なく使用できます。まずは試しに使ってみて役に立つか判断したい方には嬉しい配慮ですね。

生成 AI プロバイダーは、実際のページ数ではなくトークンを使って利用量を追跡しています。
半角英数字では、1 ~ 2 文:およそ 30 トークン / 1 段落:およそ 100 トークン / 1,500 語:およそ 2048 トークンが目安で、日本語では 1 文字あたりおよそ 1 ~ 3 トークンとなるそうです。

では、無料の範囲でどの程度使えるのか ー 気になるところです。
文字数やページ数で明確に示すのは難しいのであくまでも筆者の体験ですが、論文などを対象とした全文要約に使用しておりましたところ、10日間程度で使い切ってしまいました。機能や内容を確かめるために何度も生成を繰り返したことも原因の一つかとい思います。

とはいえ、上限値から想像していたよりも早く使い切ってしまったな、という印象を受けましたので、無料使用は機能を確かめるためのものとして、効率よく色々試してみることをおすすめします。


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