ナラティブ・メディスンの原理と実践
原書: The Principles and Practice of Narrative Medicine
著者:
出版社: 北大路書房
ISBN 978-4-7628-3070-9
発売日: 2019/7/18
書籍内容
医療を変える「物語能力」の養成とは!?
ナラティブ・メディスンは、全ての診療において必要とされる「語ることと聴くこと」から生まれる感情と間主観的関係の重要性を強調する。それは患者と医療者、学生と教員、そして彼ら全てと社会を強く結びつける。
人文学と医学を架橋するリタ・シャロンらによってコロンビア大学に創立された医療者のための全く新しい教育法の全貌が、今ここに明らかにされる。
目次
日本語版によせて
謝 辞
序 文
第1部 間主観性
第1章 自己の物語 ―文学を通じて関係性を学ぶ
はじめに
自己について語る―コルム・トビーンと語りの求め
モノローグとダイアローグ―ドストエフスキーとバフチン
ベクダルの「ファン・ホーム」における気づき―ストーリーに厚みをもたせる
カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』にみる同一化と拒否
まとめ
第2章 セッションの実際―文学作品,経験,感情,教室での関係性
社会関係的ダイナミクスと医学教育
ナラティブ・メディスンの授業/ワークショップ
まとめ
第2部 二元論,個人性,体現化
第3章 二元論とそれに対する不満(その一) ―哲学と文学と医学
「どうも,調子はいかがですか?」―ヘルスケアにおける疎外の物語
現代史における生物医学
洞窟と機械―二元論の哲学的起源
第4章 二元論とそれに対する不満(その二) ―哲学という塗り薬
現象学と物語解釈学
哲学的な物語―複合性と多様性
魂
第5章 確実性からの解放―物語倫理のための訓練
物語は私たちに何をしてくれるのか―倫理としての物語的理解
物語と生命倫理
物語倫理
文学研究に由来する物語倫理
ナラティブ・メディスンの倫理学の教育と実践
付記
第3部 教育における自己同一性
第6章 教育の政治学 ―クリップ,クィア,アンホームの健康人文学
序論
クリップの政治学と健康人文学の医療化
クィアの政治学と明瞭性の問題
アンホームのナラティブ・メディスン―複数の教育的枠組み
結語
第4部 精密読解
第7章 精密読解 ―ナラティブ・メディスンの代表的方法論
精密読解の起源とその運命
ナラティブ・メディスンはなぜ精密読解に専念するのか
精密読解とその弟子,注意深い傾聴
精密読解の内的プロセス
精密読解はナラティブ・メディスンの原則を実演する
終わりに
第8章 精密読解教育の枠組み
精密読解を教育する一つの方法
テクストの選定と執筆課題(プロンプト)
時間
空間
声
隠喩
結論とさらに考えるための余地
第5部 創造性
第9章 創造性 ― 何が,なぜ,どこで?
私たちの日常生活の中での創造性
創造的執筆は何のためにあるのか ― 特に臨床の文脈において
創造的執筆の形態とその報酬
創造的執筆と反省的執筆
第10章 創造性は教えられるか?
ヘルスケア専門職における執筆のための戦略
教育用ツール ― 創造的執筆のための読解の手引き
執筆中の学生へのアプローチ
最後に ― 創造の火花に注目せよ
第6部 知ることの質的方法
第11章 非常階段から質的データへ ―教育的促し,身体性に開かれた研究,ナラティブ・メディスンの心の耳
物語的な前奏曲
質的研究法を脱神秘化する
身体性を通じた再帰的な実践
世界を可視化する
民族誌的な証人
第7部 臨床実践
第12章 健康とヘルスケアの物語的変容
リタ・シャロンは臨床物語を語る
エリック・マーカス:概念―転移と移行空間
リタ・シャロン:概念―創造性,再帰性,相互性
終わりに
第13章 ナラティブ・メディスンの臨床的貢献
個人面接と関係性構築の技法
臨床家とヘルスケアチームの改善
新しい物語的実践
臨床家は見る
訳者あとがき
索 引
文 献
邦訳文献