NVivo MacとNVivo Windowsでプロジェクトファイルを共有
質的研究、混合研究法を支援するNVivo。
WindowsとMacで使用できますが、機能にはまだ若干差があります。また、研究チーム内にWindowsユーザーとMacユーザーがいる場合、プロジェクトファイルの共有には注意が必要です。
NVivo MacとNVivo Windowsとの機能の違い、プロジェクトファイルの共有方法などを、2回に分けて紹介します。
NVivo MacとNVivo Windows間でのプロジェクトファイル共有
NVivo MacとNVivo Windowsは別のソフトウェアであり、プロジェクトファイルの形式が異なります。
- NVivo Windows: 全ての機能を備えている。プロジェクトファイルの拡張子は「.nvp」
- NVivo Mac: サブセット。プロジェクトファイルの拡張子は「.nvpx」
NVivoのライセンスはエンドユーザー個人の利用に限り*、1ライセンスにつき2台のコンピュータで使用できます。
(NVivo 14では、Windows 、Mac いずれでも、合計2台使用できます – 202404追記)
*: シングルユーザーライセンスの場合。サイトライセンス等でお使いの場合のインストール可能台数は、ライセンス管理者にお問い合わせください。
プロジェクトファイルの変換
プロジェクトファイルを共有するにはファイルを変換する必要があります。NVivoの場合、変換はNVivo Windowsでのみ可能です。プロジェクトファイルを変換しようとすると、初回にコンバーターがダウンロード、インストールされます。
NVivo Macプロジェクト(.nvpx)はNVivo Windowsで開けます
1.[ファイル]→[開く]
2.ファイル(.nvpx)を選択
3.保存先とファイル名を指定→[保存]
4.[変換]
※ または、[インポート]→[プロジェクト]でプロジェクトをマージ
NVivo WindowsでMacプロジェクト(.nvpx)のコピーを作成します
1.[ファイル]→[プロジェクトをコピー]
2.ファイル(.nvp)を選択
3.コピー先の形式として「NVivo – (Mac) R1」を指定
4.保存先とファイル名を指定→「保存]
5.[OK]
この変換を介したファイルの共有は、同じメジャーバージョン同士でのみ可能です。例えば現行のNVivo Mac(R1)のプロジェクトファイルを、NVivo 12 for Windowsで変換することはできません。
また、NVivo Macには「ない」機能で作成された出力などが含まれる場合、変換後のNVivo Macでは表示されません。ただし消去されてしまうわけではないので、再びNVivo Windowsに変換すれば表示されます。一部例外もありますので、機能の差についてはNVivo Mac/Windowsの違いをご覧ください。
チーム内にWindowsとMacのユーザーが混在する場合
使用するライセンスの選択や管理方法など、協業しやすいように前もって決めておくと良いかもしれません。例えば:
NVivo Windowsに統一する
仮想化ソフトを利用してMac上にWindows環境を作り、NVivo Windowsを使用します。Parallels Desktop、VMware Fusion、Oracle VM VirtualBoxなどを使用している方が多いようです。(筆者はParallels Desktopを使用中)
チーム内でのNVivo環境が統一されるのでプロジェクトの管理はしやすくなりますし、また、全てのユーザーが全機能を利用できます。
一方で、仮想化ソフトやWindowsを導入するためのコストや労力が必要です。また、Macしか使用経験のない方は、Windows環境での操作に慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。
管理者を決めてプロジェクトの変換を管理する
それぞれが好みの環境でNVivoを使用し、必要に応じてプロジェクトを変換、共有、統合します。
例えば複数人で同じデータをコーディングするような場合は、Windowsユーザーを管理者にしてマスターファイルを作り、各自の作業にはコピーを配布→作業後マスターに統合して更新というように管理手順を決めておくことをお勧めします。また、MacとWindowsの差を事前に確認し、使用する/しない機能などの決め事をしておくのも良いかもしれません。
(プロジェクトファイルの管理は、チーム規模に応じてCollaboration Cloud、Collaboration Serverの利用する方法もあります。Collaboration ServerのプロジェクトファイルはNVivo Windows形式です)
次回掲載では、NVivo MacとNVivo Windowsの機能の差や操作が異なる点などをご案内する予定です。
※ 本記事の内容は2020年10月時点での NVivo Help (R1) Converting Projects between Windows and Mac および、筆者の使用体験に基づいています。機能やライセンスの提供方法など、将来変更される場合がありますのでご了承ください。