心の臨床実践―精神医療の社会学

心の臨床実践
精神医療の社会学

河村 裕樹 著
単行本: 264ページ
ナカニシヤ出版 
言語: 日本語
ISBN-10 ‏ : ‎ 4779515998
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4779515996
発売日:2022/3/10

書籍内容

精神医療という名のもとに、実際にどのような活動がどのように「実践」されているのだろうか。
そして、精神医療の「問題」は誰にとって「問題」なのか。
さまざまな立場から、さまざまなやり方で「心の病い」と向き合う人びとの営みを記述したエスノメソドロジー研究。

本書の関心と目的を、問いの形で簡潔にまとめるならば、次のようになる。すなわち、精神医療に対してさまざまな価値判断があるなかで、精神医療という名のもとに、実際にどのような活動がどのようにして行われているのだろうか。この問いのもとに、現代日本における精神医療という実践を参与者の志向に即して見通しよく記述すること、これが本書の目的である(「序章」より)

目次

はじめに
第Ⅰ部

序章:本書の問題設定と目的
1 本書の目的
2 なぜ精神医療を社会学的観点から分析するのか
3 電気ショック療法が問うもの
4 善/悪という価値判断の理解可能性

第1章 精神医療の臨床における展開
1 本章の目的
2 批判の対象としての精神医療
3 反精神医学の展開
4 ナラティヴ・アプローチ
5 当事者研究と半精神医学
6 日本の精神医療体制:施設から地域への移行
7 小  括

第2章 精神医療と精神疾患についての社会学的研究の展開
1 本章の目的
2 批判的ラベリング論
3 シェフ=ゴウブ論争
4 逸脱の相互作用論から構築主義へ
5 トラブルの自然史や社会問題のワークの研究からエスノメソドロジーへ
6 ループ効果
7 小括:実践の記述へ

第3章 エスノメソドロジー研究の方法論的態度
1 本章の目的
2 構築的分析とインデックス性
3 規範とヴァナキュラーな用語の使用への着目
4 参与者の志向に即した記述
5 方法の固有の妥当性要件
6 批判的エスノメソドロジー

第Ⅱ部
第Ⅱ部の構成

第4章 デイケアでの1日
1 本章の目的
2 精神科デイケアの位置づけ
3 方法誌
4 午前の動き
5 昼休みにおける活動
6 午後の動き
7 小  括

第5章 精神科デイケアにおける道徳的秩序の達成
1 本章の目的
2 ゲームのプログラムにおける「逸脱」の「解決」
3 ある患者の「妄言」の扱いにみる「逸脱」の「解決」
4 褒めることと部活動
5 部員制とデイケアプログラムとの関係
6 考  察
7 小  括

第6章 患者の要望と医師の説得技法
1 本章の目的
2 診療場面における非対称性についての会話分析による先行研究
3 会話分析に対する批判についての検討
4 精神科外来診療場面の会話分析研究
5 要望すること・要望を断ること:紹介状の事例
6 処方決定の事例
7 「患者に気を遣うアカウント」の使用の優先性
8 考  察
9 小  括

第7章 「摂食障害者」であることの説明実践
1 本章の目的
2 本研究の位置づけ:専門知と日常知
3 相互行為としてのインタビュー
4 医学的概念と規範を用いた自己呈示
5 考  察
6 小  括

第8章 精神医学的診断と経験の再編成
1 問題の所在
2 先行研究
3 データの概要
4 新たな診断名のもとでの経験の捉え直し
5 専門的知識のもとでの原因探求
6 概念の結びつきを変えることによる行為の理解可能性の拡張
7 結果と考察
8 小  括

終  章
1 本書の要約
2 「参与者の志向に即した記述」を閉じること・拓くこと
3 本研究の貢献
4 本書の課題と今後の展望

参考文献
あとがき

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