男性育休の社会学

著者: 中里英樹 著
装幀・装画: 早川宏美
出版社: さいはて社
四六判並製: 340ページ
ISBN-10: 4991248612
ISBN-13: 978-4991248610
発売日: 2023/3/31

書籍内容

男性育休取得率向上の先に、われわれは何を目指すべきなのか? 日本、ドイツ、北欧での調査をふまえ、育児をめぐる文化や言説、制度の内容、改正のプロセス、実践について分析し、構造転換に向けて方策を提示する。ジェンダーにとらわれない子育てと夫婦のワーク・ライフ・バランスを模索し続けてきた著者による、集大成的大著。

*推薦の言葉*
ワーク・ライフ・バランスとジェンダー平等の鍵は男性育休にあり。自身も父親である著者が、当事者インタビューと、日本を代表して参加してきた国際共同研究の知見から、みんなが生きやすい社会を提案してくれる、説得力抜群の好著です。 ~ 落合恵美子(京都大学大学院文学研究科教授)

目次

はじめに

第1章 問題の所在と理論枠組み

  1. 日本社会における男性育休への着目と研究の進展
  2. 父親の子育ての分析と理論枠組み – 実践の相互作用・政策・文化
  3. ワーク・ライフ・バランスの捉え方

第2章 父親の子育てをめぐる言説・政策・実践

  1. 一九八〇年代における専門家の言説の変化
  2. 関連法制の導入と政府のキャンペーン
  3. 一九八〇年代以降の意識と実践の変化
  4. 文化・政策・実践の相互作用

第3章 母親の育児休業と父親の育児休業
  ― 量的データから

  1. 育児休業制度の発展と母親の就業継続可能性の変化
  2. 父親の育児休業に関する先行研究
  3. 父親の育児休業取得の現状 – 取得期間別の特徴に注目して
  4. 「企業の人材活用と男女正社員の働き方に関する調査」から
  5. 「職業キャリアと生活に関する調査」から
  6. 父親の育児休業取得の要因と意義

第4章 ひとりで育休を取った日本の父親たち
  ― インタビュー調査から

  1. 日本の父親の育休取得状況の変化
  2. 父親の単独育休取得の分析枠組み
  3. 調査の概要と対象者
  4. 育休取得の理由
  5. 父親の育休取得の障壁への対処
  6. 父親の単独育休の生きられた経験
  7. 単独育休取得の効果
  8. 父親の育休取得は夫婦間のキャリアの平等を促進しているか?
  9. 父親の単独育休取得から見えるもの

第5章 日本の育児休業制度の特徴
  ― ノルウェー・スウェーデン・ドイツとの比較をとおして

  1. 日本の育児休業制度
  2. ノルウェー、スウェーデンおよびドイツにおける「パパ・クオータ」の意義
  3. 日本にパパ・クオータはないのか

第6章 父親の子育てが当たり前の社会とそれを支える仕組み
  ― スウェーデンとドイツの事例から

  1. 父親の取得日数が三割を占めるスウェーデン
  2. 父親の育児参加急上昇のドイツ – ベルリンとハンブルクの街角
  3. ベルリン父親センターの活動と意議
  4. ハンブルク父親センターの活動と今後の展望
  5. 民間企業による男性育休取得支援
  6. ドイツの父親の育休取得の実際
  7. 男性の育休取得が当たり前の社会とはどのようなものか

第7章 日本の育児休業制度の成立・変遷と父親の取得率向上への取り組み

  1. 育児休業導入の背景と前史
  2. 現行育児休業制度の導入
  3. パパ・ママ育休プラス – 日本版パパ・クオータになりえたか?
  4. 育休制度の導入と改正はどこへ向かったか

第8章 男性育休促進のポリティクス
  ― 課題はなぜ解消されないのか?

  1. 日本の社会政策決定のプロセス
  2. 育児休業制度の改正プロセスの分析枠組み
  3. 二〇一七年改正のプロセスとアクター
  4. 二〇二一年改正のプロセスとアクター
  5. 政策決定プロセスの複雑化と中長期的な視点の喪失

第9章 男性育休の構造転換をめざして

おわりに

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