エスノメソドロジー 住まいの中の小さな社会秩序 家庭における活動と学び
エスノメソドロジー 住まいの中の小さな社会秩序
家庭における活動と学び
身体・ことば・モノを通じた対話の観察から
是永 論、富田 晃夫(編著)
単行本(ソフトカバー) : 172ページ
出版社: 明石書店
言語: 日本語
978-4-7503-5263-3
発売日:2021/10/7
書籍内容
住まいの中で日々に営まれている活動を主に子どもと親の関係を中心に撮影したビデオデータを用いて、空間・感情・メディアという三つの観点から、身体・ことば・モノを通した家庭の人々の対話を中心に、研究者と住宅関係者が多面的な分析を展開する。
『じっさいに本書がフィールドとした住宅は特定の二軒にとどまり、データの量的な収集を基本とする従来の研究分野からいえば、そうした限られた対象から観察で得られたものは「代表性」や「客観性」がないとして、多くの人に訴えるような意義があるのかを疑われることになるかもしれない。しかし、エスノメソドロジーという方法(序章参照)をもとに、本書が家庭にいる(いた)誰にとっても、何かの「気づき」をもたらす可能性を編者は確信しているし、どのような「分野」に位置づけられるかに関係なく、読者のもとで浮かび上がってくる「気づき」それこそが、ひとえに本書の目指すものである。』(「まえがき」より)
目次
まえがき[是永論]
凡例
本書第1~6章のポイント
プロローグ[富田晃夫]
序章 家庭における活動への視点――住まいから見る現代家庭の状況と行動場面を観察する意義について[富田晃夫・是永論]
1 住まいの現場から
2 行動を観察するということ
第1部 家庭という空間
第1章 生活行動を通して発見する場所の意味――住み込まれた場所と新たに出会うこと[青山慶]
1 発見される「場所」の重層性
2 場所の探索と発見
第2章 片づけはなぜ難しいのか――その困難さと対処戦略の「しくみ」[森一平]
1 はじめに――片づけの難しさ
2 片づけをめぐる教育的配慮――「しつけ」と「教育戦略」の両面性
3 困難さをときほぐす――実際の場面へ
4 質問テクニックをもちいた「教授」と「訓練」
5 「大人/親」の立場を活かす
6 おわりに
第1部からの気づき[八木邦果]
コラム① 母となった私が、生活者行動観察研究会から学んだこと[森元瑶子]
第2部 家族と感情
第3章 家族への配慮と家事労働――感情管理と道徳を教えること[須永将史]
1 はじめに
2 家族への配慮を教えること
3 気にかけながら家事を進めること
4 母の離脱
5 家事と感情を管理させることの同時進行
6 一瞥を向けること
7 条件呈示
8 母の帰還
9 結論
第4章 家庭内における遊びと感情の表出――遊びの展開と対立のマネジメント[遠藤智子]
1 遊びの開始と環境の準備
2 創造し共有される遊びと対立の回避
3 利用される遊びのルール
第2部からの気づき[森元瑶子]
コラム② 感情の文法[前田泰樹]
第3部 家庭のメディア
第5章 家庭におけるテレビ視聴――開始/終了と「家族の団らん」の発生[池上賢]
1 データ概要
2 長男によるテレビへの注目
3 家族全員による視聴の発生――呼びかけと会話によるテレビ画面への注目
4 テレビ視聴からの離脱過程
第6章 「画面」がある家庭の光景――家族関係への「割り込み」から「一緒」の楽しみとして[是永論]
1 家庭におけるICT:「割り込み」としての意味
2 ゲームをめぐるやりとりに見る「割り込み」の調整
3 家族関係との結びつき
4 「一緒に見ること」の組織化
第3部からの気づき[富田晃夫]
コラム③ 読書と育児が交差するとき[秋谷直矩]
あとがき[是永論]