急性期病院のエスノグラフィー – 協働実践としての看護
急性期病院のエスノグラフィー
協働実践としての看護
前田 泰樹・西村 ユミ 著
単行本(ソフトカバー) : 196ページ
出版社: 新曜社
言語: 日本語
ISBN 978-4788516816
発売日:2020/8/31
書籍内容
急性期病院でのなめらかな協業はいかにして可能になるのか
急性期の現場で連携するため看護師たちは何を見聞し、考え、お互い報告しているのか。「チーム医療の大切さ」といった理念の主張に留まらず、個々の看護を協働によって円滑に成し遂げる方法論を見出し、病棟の時間と空間の編成を描きだす記録集。
目次
序 章
1.本書の問い
2.本書の構成
3.本書の意義
第1章 「音」の経験と看護実践の編成
1.「音」をめぐる実践へ
2.注意の引継ぎ
3.アラーム音への「対処」
4.他の看護師よりも先にコールを取る
5.顔の気配が目に入る/ナースコールが鳴った覚えがない
6.ナースコールを押してくれると思っていた
7.音の経験と看護実践の編成
第2章 「痛み」の理解はいかに実践されるか
1.急性期病棟における「痛み」の理解にかかわる実践
2.患者の痛みと看護師の能力の手前で
3.痛みを何とかしたい
4.痛みの表現が難しい
5.「痛み」と「しびれ」の区別
6.痛みを分かち持つ
7.痛みの理解という実践
第3章 「メンバーの測定装置」としての「痛みスケール」
1.急性期病棟における緩和ケア
2.参加者たち自身の問題としての「痛み」の理解
3.「問題」の報告
4.痛みスケールの検討
5.本人の言葉,本人のつらさ
6.「提案」の再提示
7.「メンバーの測定装置」としての「痛みスケール」
第4章 協働実践としての緩和ケア
1.「はっきりと語れる人はいない」
2.参加者たち自身の問題としての疼痛コントロール
3.「今は結構落ち着いている状態」:緩和ケアの経過
4.「痛みのコントロールはできている」:緩和ケアカンファレンス
5.レスキューを使う:朝の申し送り
6.投薬の時間を管理する:管理室
7.協働実践としての緩和ケア
第5章 申し送りを行なう
1.「申し送り」という活動
2.チームにおける申し送り:経験したことを語る
3.チームにおける申し送り:経験の条件をつくる
4.リーダーへの報告:「報告すべきこと」を区別する
5.リーダーへの報告:継続性に志向する
6.病棟の時間と空間の編成
第6章 急変に対応する
1.「ノーマルトラブル」としての急変対応
2.ワークの流れ
3.急変対応の「開始」の開始
4.急変対応の「開始」の終了
5.急変対応の「遂行」
6.急変対応の「終了」
7.病院の時間と空間の編成
第7章 病院全体のバランスを見る
1.「あとは,任せておこう」というつぶやき
2.病棟管理者である師長の実践
3.ばっと情報が入る
4.入院予定と救急病棟をぱっと覗く
5.病院全体のバランスを見る
6.その先を読んで
7.師長の実践とその語り
第8章 看護部長の管理の実践
1.看護部の管理の実践へ
2.「風通し」のよい看護部へ
3.現状の課題を提案してみる
4.新たな仕組みを言ってみる
5.新たな仕組みの「副産物」
6.現場がやっぱり変わっている
7.看護部から病院の管理へ
終 章
1.看護実践とともにあった改革
2.病棟における看護の協働実践
3.病棟から病院全体を志向する協働実践へ
4.急性期病院から地域へ