発言者名でケースを作成する自動コード
NVivoの自動コード機能をご紹介します。
自動コードには5つの方法が提供*されています。今回は発言者名でケースを作成する自動コードを取り上げます。
*: NVivo Windowsの場合。NVivo Macでは2つの方法を提供。
インタビューやフォーカスグループディスカッションなどの書き起こしテキストを分析する際、発言者ごとにテキストを整理し、さらに発言者の属性を紐づけておくと便利です。
NVivoでは、発言者ごとに「ケース」を作成し、それぞれの発言をまとめることができます。さらに発言者の属性値を紐づけることができ、「若者の意見に共通した傾向はあるか、また、年配者とはどこが異なるのか?」「この課題に対する問題意識には性別による違いがあるか?」など、さらに探索していくことが可能になります。
ここでは例としてグループインタビューを文字起こししたファイルを使用します。発言者名→発言内容で書き起こされており、発言者は「インタビュアー」「001」「002」「003」の4名です。これを[自動コード]機能を使い、発言者ごとにテキストを整理していきます。
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対象のファイル(1件でも複数ファイルでも可能)を選択、メニュー[ホーム]タブの[自動コード]をクリック、または、右クリック→[自動コード]。
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自動コーディングウィザートのステップ1で自動コードの種類を選択します。ここでは「発言者」を選択して[次へ]。
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回答者名を入力していきます。
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すべての発言者名を入力します。[見つかりました]に緑のチェックマークが表示されていれば、NVivoが発言者を認識できているというサインです。確認して[次へ]。
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分類名と保存場所を指定して[終了]。
[分類]とは、ケースにどのような属性を紐づけるかを定義するための機能です。
参考: NVivo Help – Classifications ; ファイルやケースに属性を紐づける ~分類シートのインポート (NVivo 12 対応)
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自動コードが完了しました。ファイルのリストビューを見ると、[コード]と[リファレンス]の件数が更新されていることが確認できます。

[ケース]を見てみると、発言者ごとに発言内容が整理されています。ケースを開いてみると、その発言者が発言した内容だけがコーディングされていることがわかります。
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例えば発言者ごとに視覚化したい場合など、ケースの上で右クリック→[視覚化]からワードクラウドなどの出力を選択できます。
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Tips1 – 複数のファイルを選択して自動コードを実行できます。発言者名を入力する際は、プレビューを切り替えてファイルごとに確認できます。
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Tips2 – 段落の最初に発言者名に入力した文字列(「インタビュアー」「001」など)があると、NVivoは発言者が切り替わったと認識します。そのため、以下のような呼びかけで始まる発言を発言者名として自動コードの対象にしてしまう場合がありますので、発言者名の表記ルールを決める際にはご注意ください。
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
NVivo Macの場合
発言者名でケースを作成する自動コードはMacでも使えます。[ホーム]タブまたは、ファイルの上で右クリックから[自動コード]→[発言者別]を選択。
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設定画面の構成は違いますが、必要な指定項目は上で説明したNVivo Windowsと同じです。
- 発言者名を入力
- ケースの保存場所を指定
- 分類を指定
- 自動コードをクリック
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以前のバージョンでは、Wordなどで予め指定したスタイル(例: 発言者名を見出し2にするなど)を利用して発言者ごとのケースに割り当てていました。NVivo 12から使えるようになった[発言者名]の自動コードはプレーンテキストでも利用できますので、すでに書き起こしが完了しているファイルを対象にする場合も使いやすいですね。
参考: NVivo Windows Help – Autocode documents based on speaker