まえがき
序 章 「グアム育ちの日本人」のエスノグラフィーに向けて
第一節 はじめに
第二節 本書の位置づけと問い
第三節 分析枠組み
第四節 研究方法と調査概要
第五節 グアムについて
第六節 本書の構成
第Ⅰ部 トランスナショナルな育ちの過程
第一章 新一世の移住経験:グアムにライフスタイル移住した親世代
第一節 はじめに
第二節 移住動機――より良い生き方の追求
第三節 移住経路――観光産業からの誘引
第四節 移住後の生活――理想と現実のギャップとその調整
第五節 新一世の移住の特徴
第二章 新一世の教育戦略:グアムからの移動を見据えた子育て実践
第一節 はじめに
第二節 言語使用・文化伝達――同化回避のための日本語・日本文化
第三節 学校選択――教育機関の戦略的スイッチング
第四節 進路希望――「やりたいこと」を見つけてグアムを出る
第五節 より良い生き方の追求をめぐる教育戦略――継承される移住経験
第三章 新二世のトランスナショナルな日常生活:グアムで日本と育つ子世代
第一節 はじめに
第二節 グアムとの関わり
第三節 日本との関わり
第四節 日本を目指す新二世たち――帰還移住という進路
第Ⅱ部 帰還移住をめぐる経験
第四章 日本の大学を目指す:進学ルートの帰還移住
第一節 はじめに
第二節 なぜ、日本の大学を目指すのか――帰還移住の動機
第三節 どのように日本に帰還するのか――帰国生入試が果たす役割
第四節 進路選択をめぐる困難――個人化された進路選択
第五節 グローバル人材予備軍の帰還移住
第五章 日本での就職を目指す:就労ルートの帰還移住
第一節 はじめに
第二節 帰還移住をめぐる経験
第三節 帰還移住過程における構造的制約
第四節 グローバル・ノンエリートの帰還移住
第六章 日本から距離を置く:多様な位置取りとその変容
第一節 はじめに
第二節 なぜ、どのように日本から距離を置くのか
第三節 日本との距離の取り方の変容
第四節 日本をめぐる位置取りの多様性
第Ⅲ部 ホームづくりの実践
第七章 日本でホームをつくり出す:大学進学した新二世のその後
第一節 はじめに
第二節 帰還移住経験とホームの構築過程
第三節 ホームの構築過程の違いを生み出す要因
第四節 日本でホームを持てる者、持てない者
第八章 アウェーをホームに変えていく:グアムに残った/戻った新二世のその後
第一節 はじめに
第二節 日本と出会い直す“foreigner”――カズさんのその後
第三節 沖縄の夜を生きる「東京生まれグアム育ち」――ジョウさんのその後
第四節 グアムを変える“Guapanese”――ツヨシさんのその後
第五節 ホームを創造しつづける新二世たち
終 章 日本人の海外移住の多様化・大衆化は何をもたらしたか
第一節 「グアム育ちの日本人」のライフコースからわかること
第二節 今後の展望――海外移住する日本人の子ども・若者の行方
あとがき
「グアム育ちの日本人」のエスノグラフィー
「グアム育ちの日本人」のエスノグラフィー
―新二世のライフコースと日本をめぐる経験
芝野淳一 著
単行本 300ページ
出版社: ナカニシヤ出版
言語: 日本語
9978-4779516580
発売日:2022/4/15
書籍内容
かれらの人生にとって「日本」とは一体何か。
なぜ、かれらは「日本」にこだわりをもち、「日本」に活路を見出そうとするのか。
グアムに移住した親たちに育てられ、進学や就職を機に日本への帰還を試みる「新二世」たちが、グアムと日本を行き来する中で多様な居場所(ホーム)を創り出していく姿を生き生きと描き出す!
かれらの口からは、グアムと日本を同時に生きることの喜びや幸せとともに、苦悩や葛藤が語られることがしばしばあった。特に印象的だったのは、グアムで生活しつづけることの不安と、日本で生活することの憧れが同時に語られたことだった。さらに驚いたのは、日本での生活を実現するために、進学や就職を機に日本への移住を試みる若者たちの存在である。興味深いことに、かれらはほとんど生活したことのない日本への移住を「日本に帰る」と表現していた。まるで自分が生まれ育った地元に戻るかのように、日本を目指すのである。(「はじめに」より)