旅と観光の人類学 「歩くこと」をめぐって

旅と観光の人類学
「歩くこと」をめぐって

橋本和也 著

単行本(ソフトカバー)304ページ
出版社: 新曜社
言語: 日本語
978-4788517639
発売日:2022/6/30

書籍内容

観光とは「地域を歩くこと」から始まる。歩くことは迷うことでもある。日本古来の「旅」、インゴルドの徒歩旅行論などに刺激され、「観光まちづくり」や「地域芸術祭」を歩き回った著者自らの体験を振り返りながら、観光のあるべきかたちを模索する。

* 観光人類学の先駆者が自らの「歩いた」軌跡をたどりつつ、「観光」とは何かを熱く語る、恰好の入門書。

目次

はじめに
 1 「徒歩旅行者/狩人」の歩き
 2 「旅/観光」のハイブリッド アフターコロナ時代の観光
 3 フィールドワーカーと徒歩旅行者

第一部 観光と出会い、広がる・つながる観光研究

第Ⅰ章 観光との出会い
 1 焼け石の上を「歩く」
 2 「観光文化」成立の現場 観光文化が「歩き方」を変える
第Ⅱ章 植民者の歩き、地元民の歩き 植民地主義への視点
 1 植民地構造と新植民地主義 ハワイの観光開発
 2 大衆観光と生態環境観光 フィジーの観光開発
第Ⅲ章 観光者の歩き
 1 大衆観光と「観光のまなざし」
 2 近代における「歩くこと」の再発見
 3 ポストモダンの歩き方 リアルとヴァーチャルの境界を歩く
第Ⅳ章 「歩くこと」をめぐる存在論的転回
 1 メッシュワークと「徒歩旅行」
 2 存在論的視点にたったフィールドワーク 存在論的転回/生成論的転回
 3 道に迷い、地域を発見する「地域芸術祭」
 4 フィールドを「歩き/学ぶ」
 5 「ホーム・フィールドワーカー」の可能性 世界の異なる感じ方

第二部 「観光まちづくり」を歩く

第Ⅴ章 宇治を歩く 「観光まちづくり」の実践
 1 地域を歩く意味
 2 自転車を使った「徒歩旅行」 萩・金沢・宇治
第Ⅵ章 「まちづくりのものがたり」を歩く「旅」
 1 湯布院のまちづくり
 2 「まちなみ保存」のまち 愛媛県内子町
 3 「語りの里」を歩く 岩手県遠野市
 4 「伝統的建造物群保存地区」のまちを歩く 埼玉県川越市
 5 谷中を歩く 東京都台東区谷中
 6 「水のまち」を歩く 岐阜県郡上八幡
 7 「ツーリズム大学」のまちを歩く 熊本県小国町
 8 荘園のむら・昭和のまちを歩く 大分県豊後高田

第三部 人間/非 人間のハイブリッドな世界を歩く

第Ⅶ章 「地域芸術祭」を歩く
 1 道に迷う経験
 2 「大地の芸術祭」 新潟県越後妻有
 3 「生成変化」を誘う
 4 瀬戸内国際芸術祭 香川県・岡山県の島々・港
 5 地域のものとなる
 6 「アートネクサス」と「観光ネクサス」を行き来する
第Ⅷ章 小規模芸術祭の存在意義 モノの「ものがたり」をたどる
 1 アフォーダンスを探る
 2 「木津川アート」を歩く
 3 「北アルプス国際芸術祭」を歩く
 4 「原始感覚美術祭」を歩く
 5 小規模「地域芸術祭」の存在意義

第四部 観光の新たな領域

第Ⅸ章 アフターコロナ時代の観光
 1 「普通の生活者/観光者」の民俗的世界観
 2 アフターコロナ時代の地域と観光
 3 「地域文化観光」の存在論的再定義
 4 観光人類学研究を広め・深める歩み

おわりに 新たなフィールドを歩くこと

あとがき
文献リスト / 事項索引 / 人名索引

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