複数回のアンケートの取り扱い
同じ対象者に対して複数回のアンケートをとることがあると思います。例えば全5回のセミナーを開催し各回の満足度と感想を尋ねたり、登録会員に対して四半期ごとにアンケートを採ったり、授業ごとに学生からフィードバックを収集したり。
各回の集計だけでなく複数回にわたって集計して回を追うごとの満足度や関心事の変化など確認したり、自由記述回答も複数回分をトピックごと感情ごとなどでコーディングして関心事や感情的な変化を捉えたりしたくなるかもしれません。対象者全体として見るだけでなく、ある特定の回答者に着目したり、何かの基準で回答者をグループ分けして比較したり、さまざまな分析が考えられると思います。
では、NVivoやMAXQDAで複数回のアンケート回答をどのように扱えばよいでしょうか。
この記事では、NVivoとMAXQDAそれぞれで複数回のアンケートを取り扱えるかおおまかなイメージを紹介します。
複数回にわたるアンケートのデータをインポートする際には、選択式も含め設問名をどう扱うかなど、あらかじめ検討すべきこともあります。これまでにこうしたご相談を複数件受けましたが、収集されている項目やその後どのように分析していきたいかによってファイルの構成や加工、インポートの手順、また場合によっては収集方法の検討も必要なこともあり、ユーザーによって適した方法が異なる場合が多いと実感しています。そのため、今回は細かい手順は含めず概要のみの紹介としました。
実際のデータを扱う前にだいたいの流れを理解した上で、小規模なサンプルデータなどでいろいろ試してみると良いかもしれません。
NVivo、MAXQDAいずれにも共通することとして、回答者を識別するための項目が必要になります。例えば最初の設問で受講者番号、登録番号、学籍番号などのIDを入力してもらうなど、各回の回答を一つにまとめるためのキーとなる項目を作っておきましょう。氏名やユーザー名でも構いませんが、表記の揺れ(姓名の間にブランクを入れる/入れないなど)や重複(同姓同名など)が起きないようにする必要があります。
NVivoの場合
一回目のアンケートをインポートすると、回答者ごとに「ケース」が作成され、選択式の回答はその属性として保存されます。NVivoでインポートする手順を見る
二回目以降も同様の手順でインポートします。ファイルは「データ¥ファイル」フォルダに保存されます。回答者のIDをキーとして、自由記述回答が初回インポート時に作成したケースにコーディングされまとめられていきます。
インポートウィザードのステップ3で、既存のケースが保存されているフォルダなどを指定すると、上記のイメージでインポートできます。
ファイルはExcelなどのままのイメージでインポートされ、そこから回答者ごとの値や自由記述をケースに紐づける、という考え方です。属性など毎回同じ質問をしている場合は事前に扱いを検討しておく必要があります(値を上書きするか、全ての回の値を保持するかなど)。
*上記はWindowsの場合です。Macではアンケートのインポートウィザードが使用できません(NVivo 14 – 20240425現在)
MAXQDAの場合
一回目のアンケートをインポートすると回答者ごとに「文書」が作成され、自由記述回答はその文書のコンテンツとなります。選択式の回答は文書変数として保存されます。MAXQDAでインポートする手順を見る
二回目以降のインポート時に文書グループ、タイトル、オプション「現在の文書にテクストを添付する」を指定すると、自由記述回答が文書のコンテンツとして追加されていきます。
文書に全ての自由記述がまとまるので、インポート後は通常のテキスト文書と同様にシンプルに取り扱えますが、インポート時に指定するグループ名や設問名など、後の扱いを想定して事前にインポート用のファイル(Excel、SPSSなど)を整えておく必要があります。
今回はおおまかなイメージをご紹介しました。
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