心理学における質的研究の論文作法: APAスタイルの基準を満たすには
心理学における質的研究の論文作法
APAスタイルの基準を満たすには
ハイディ・M・レヴィット 著
能智正博 柴山真琴 鈴木聡志 保坂裕子 大橋靖史 抱井尚子 訳
単行本 192ページ
出版社: 新曜社
言語: 日本語
ISBN-10: 4788518287
ISBN-13: 978-4788518285
発売日:2023/11/10
書籍内容
質的研究論文をどう書くか、評価するかの基準として、アメリカ心理学会で質的研究のための学術論文執筆基準が作られた。しかし基準は簡潔に書かれていて、そのまま論文に適用するのは難しい。基準を具体的な研究に橋渡しするための実践的ガイドブック。
* 基準作成の中心的役割を果たした著者による懇切な記述
目次
日本語版への序言
謝 辞
第1章 心理学における質的論文執筆基準――その内容と必要性
質的学術誌論文執筆基準とは?
この本の使い方
第1章附表 質的研究のための学術誌論文執筆基準(質-JARS)
第2章 質的なストーリーを語る――研究目的は論文執筆にどう影響するか
質的研究とは何か
探究の伝統とは何か
質的方法とはどういうものか
現象学的アプローチ
グラウンデッドセオリーのアプローチ
ナラティブ・アプローチ
批判理論のアプローチ
ディスコース・アプローチ
まとめ――質 – JARSの役割
第3章 方法論的整合性――研究の忠実性と有用性を高める
信用性と方法論的整合性
方法論的整合性の評価
題材への忠実性
研究成果の有用性
忠実性と有用性は競合しない
方法論的整合性の補足的な確認項目
方法論的整合性に関する報告
方法論的整合性のチェック
第4章 研究のミッションをどう定めるか――タイトルページ,アブストラクト,序論
タイトルページ
論文タイトル
著者注
アブストラクト
公的意義表明と補足資料
序 論
研究課題や研究設問の説明─文献レビュー――
研究目的
第5章 探究のプロセスをどのように書くか――方法セクション
研究デザインの概要
研究参加者あるいはデータソース
研究者に関する記述
研究参加者あるいは他のデータソース
研究者と参加者の関係
研究参加者の集め方と選択
研究参加者募集のプロセス
研究参加者の選択
インフォームド・コンセントと倫理
データ収集
分 析
どれくらい書けばよいか
第6章 何を見出したのか――結果セクション
資料6.1 質的研究の結果セクションのための書式・暫定版
分析を記述し論証する
知見のラベルづけのプロセスを記述的に表現する
引用や抜粋を選択する
結果を数値で表す
研究設問に答える知見を明快に示す
結果セクションの長さについて
第7章 論文全体として何が言えるのか――考察セクション
中心となる知見の含意に関する方向づけのパラグラフ
省察的反省
研究の貢献
限界と強み
限 界
強 み
結びのパラグラフ
第8章 質的メタ分析の論文執筆――主要な特徴
質的メタ分析の諸形式
メタ分析レビュー
メタメソッド・レビュー
批判的/理論主導型レビュー
質的メタ分析論文執筆基準
研究の選択
レビュー対象の研究
データ分析
知 見
状況性
考 察
結 論
第8章附表 質的メタ分析論文執筆基準(QMARS)
第9章 混合研究法――複数の論文執筆基準を架橋する
混合型研究論文全体の構成を示す
方法セクションにおける特徴
結果セクションにおける特徴
考察セクションにおける特徴
第9章附表 混合型研究論文執筆基準(MMARS)
第10章 修辞スタイルと方法論的整合性について
――トラブル対応,および論文発表と査読のためのヒント
客観主義的な心理学論文と構成主義的な心理学論文
客観主義的な修辞スタイル
構成主義的な修辞スタイル
論文執筆の修辞スタイルをどのように決めるか
客観主義的な論文執筆の特徴
構成主義的な論文執筆の特徴
論文発表を促進する執筆スタイルの決定
好みの方法の複数のバージョンがどのように論文化されているか検討しておく
心理学研究における探究の伝統について読みこんでおく
投稿予定の学術誌における質的研究を読んでおく
学術誌とのコミュニケーション
方法についての情報をカバーレターに書き込む
用いた方法やアプローチについて編集委員や査読者に学んでもらう
やりとりのなかで方法論的整合性の根拠を明確化する
質的論文執筆基準のこれから
新たな挑戦を支援する柔軟な論文執筆基準,および方法論的整合性を高めるための工夫
質的研究の受容度の変化
質的研究の教育
附録 本書で事例として使用した15編の論文のアブストラクト
訳者あとがき
引用文献
索 引