エスノメソドロジー・会話分析ハンドブック
エスノメソドロジー・会話分析ハンドブック
山崎敬一、浜日出夫、小宮友根、田中博子、川島理恵、池田佳子、山崎晶子、池谷のぞみ 編
単行本ソフトカバー 492ページ
出版社: 新曜社
言語: 日本語
ISBN: 9784788517943
発売日:2023/4/24
書籍内容
社会学、言語学、人類学、心理学、経営学、政治学、メディア研究、医療・看護研究など、幅広い学問分野で多彩に発展したエスノメソドロジー・会話分析の起源をたどり、その現在を一線の研究者たちが解説。全体を包括的に理解するための待望のガイド。
* ガーフィンケルやサックスら最重要理論家の翻訳・解題と各領域の解説のセットで、初期の構想から具体的な実践研究までを網羅
* 医療・教育・メディア・法・ビジネス・科学・レジャーなど意外な領域にも広がる研究を多数紹介
目次
はじめに
トランスクリプトの用い方
トランスクリプトで使用されている記号のリスト
第Ⅰ部 系譜と関連分野
総説 1 系譜と関連分野 山崎敬一
1 エスノメソドロジーと会話分析の系譜
2 関連分野――言語人類学とナラティヴ心理学
3 その他の関連分野
1 章 シュッツとパーソンズ 浜日出夫
1 博士論文「他者の知覚」
2 ホッブズ問題再考
3 他者の知覚
4 医学校にせ面接実験
5 エポケーなき現象学――エスノメソドロジーの成立地点
2 章 ウィトゲンシュタインと日常言語学派 前田泰樹
1 社会学的記述
2 記述のもとでの行為の理解可能性
3 分析の手掛かりとしての日常言語学派由来の着想
4 経験的研究への着想をめぐる論争的状況
3 章 言語人類学とエスノメソドロジー・会話分析の関わり 高田明
1 はじめに
2 コミュニケーションの民族誌
3 参与枠組み
4 相互行為の人類学
4 章 ナラティヴ心理学 やまだようこ
1 ナラティヴ(もの語り)とは
2 人間観の変革としてのナラティヴ研究
3 人と人の相互作用によって生まれる意味と社会的構成
4 未来のもの語りが現実を変える
第Ⅱ部 ハロルド・ガーフィンケル
総説 2 ハロルド・ガーフィンケル 浜日出夫
1 ガーフィンケルはいかにしてエスノメソドロジストとなりしか
2 秩序問題との出会い
3 構築的分析からエスノメソドロジーへ
4 第Ⅱ部所収論文について
5 章 成功的地位降格儀式の諸条件 ハロルド・ガーフィンケル著/樫村志郎?訳
解題:「成功的地位降格儀式の諸条件」(1956年) 樫村志郎
6 章 解題「安定した協同行為の条件としての「信頼」の概念, およびそれにかかわる実験」 浜日出夫
1 「信頼」論文
2 問題設定
3 ゲーム秩序と信頼
4 日常生活の秩序と信頼
7 章 解題「エスノメソドロジーとは何か」 山崎敬一
1 はじめに
2 説明実践とインデックス的表現
3 共通理解の問題と「実践的行為の形式構造」
8 章 エスノメソドロジーと会話分析 山崎敬一
1 はじめに
2 会話分析
3 エスノメソドロジーと会話分析
4 エスノメソドロジーと会話分析から社会生活の現場へ
5 エスノメソドロジーの諸方法
結論 エスノメソドロジー・会話分析のテクノロジー研究への応用
第Ⅲ部 ハーヴィ・サックス
総説 3 ハーヴィ・サックス 山崎敬一
1 サックスの学問的履歴
2 サックスの学問的業績と考え方の特色
3 サックスの研究から何をえることができるのか
4 おわりに
9 章 「社会学的記述」の試み――「成員カテゴリー化装置」読解 小宮友根
1 「初期の」アイデアとしての MCD
2 社会学的記述
3 成員カテゴリー化装置
4 正しいことの認識可能性
5 規範と社会化
6 会話分析との関係
10章 子どもの物語の分析可能性 ハーヴィ・サックス?著/小宮友根?訳
はじめに
「可能な記述を認識する」という問題
成員カテゴリー化装置
カテゴリーと結びついた活動
可能な記述を同定する
連鎖的秩序づけ
11章 解題「卑猥なジョークについてのいくつかのテクニカルな考察」 福島三穂子
1 論文の概要
2 ジョークの紹介とその形式の組織の紹介
3 ジョークの「解毒」
第Ⅳ部 会話分析総説 4
会話分析 田中博子
各章の紹介
12章 会話分析の方法論 高木智世・森田笑
1 会話分析の目的と構え
2 研究のプロセス
3 まとめ
13章 会話分析におけるデータの記述法 森純子・田中博子
1 会話分析におけるデータ記述の意義と流れ
2 トランスクリプトの書き方の基本と記号の説明
3 マルチモーダル・トランスクリプト
4 日本語データの英語での発表
5 結び
14章 行為連鎖組織 黒嶋智美
1 はじめに
2 連鎖組織の基本的考え
3 隣接ペア
4 連鎖の拡張
5 連鎖組織にみられる優先性
6 隣接ペアではない行為連鎖組織
7 まとめ
15章 会話における順番交替の手続き 林誠
1 はじめに
2 順番交替の手続き
3 発話順番の組み立て
4 発話順番の割り当て
5 まとめ
16章 会話における認識性 早野薫
1 はじめに
2 会話における「認識的テリトリー」のパトロール
3 行為の組み立てと認識性
4 認識性と応答の確保
5 まとめと今後の課題
第Ⅴ部 制度的会話分析
総説 5 制度的会話分析 川島理恵・池田佳子
1 制度的会話分析の前提と特徴
2 制度的会話分析と談話分析
3 制度的会話分析の目的
4 制度的会話分析の課題
5 各章の紹介
17章 医療の会話分析 川島理恵
1 医療の本質に迫る
2 診療開始部
3 疾患や病歴に関する質問
4 身体診察
5 診断
6 治療方針の話し合い
7 さいごに
18章 教育と会話分析 五十嵐素子
1 はじめに
2 学校教育におけるテストとその評価の研究
3 授業の秩序と管理の研究
4 授業における知識の組織化の研究
5 おわりに
19章 マスメディアと政治コミュニケーション 池田佳子
1 はじめに
2 政治家と大衆(一般聴衆)の相互行為
3 政治インタビュー・記者会見(Press Conference)
4 テレビ放映される政治討論
5 おわりに
20章 法と会話分析 森本郁代
1 はじめに――会話分析と「法の場面」
2 法の場面を対象とした会話分析研究
3 おわりに
21章 ビジネスと会話分析 秋谷直矩・平本毅
1 活動としてのビジネス
2 ビジネスを対象にした会話分析研究の展開
3 おわりに
第Ⅵ部 相互行為分析
総説 6 相互行為分析 山崎晶子
1 相互行為分析とビデオ
2 相互行為分析と会話分析――継起的組織化
3 相互行為分析と身体的行為
4 相互行為分析と活動現場
5 相互行為分析とテクノロジー
6 まとめ
22章 状況が見落とされてきた アーヴィン・ゴッフマン?著/芦川晋?訳
23章 共在相互行為において自らを空間づけること・自らの向きを定めること アダム・ケンドン?著/坊農真弓・牧野遼作?訳,チブルカ?みお(翻訳協力)
24章 参与と視線――チャールズ・グッドウィンとマージョリー・ハーネス・グッドウィンの研究を通して 山崎晶子・山崎敬一
1 チャールズ・グッドウィンとマージョリー・ハーネス・グッドウィンの研究
2 『会話の組織化――話し手と聞き手の相互行為』
3 参与
25章 参与 マージョリー・ハーネス・グッドウィン?著/山崎晶子?訳
26章 社会生活技能訓練の相互行為分析――相互行為における自閉症 浦野茂
1 はじめに
2 自閉症の概念
3 相互行為への視点
4 分析における課題
5 ロールプレイのなかの障害
6 おわりに
第Ⅶ部 ワークのエスノメソドロジー
総説 7 ワークのエスノメソドロジー 池谷のぞみ
1 ワークの研究とは
2 ワークの研究の展開におけるサックスの関わり
3 仕事の領域における「ワークの研究」
4 研究から「抜け落ちている何か」としてのワークの理解可能性
5 理解の対象としての社会的現象
6 ワークの研究の要件
7 第 7 部の構成
27章 法のエスノメソドロジー 北村隆憲
1 エスノメソドロジーと法――ガーフィンケルとサックスの研究
2 「法(ルール)」と常識的知識・推論
3 法廷の秩序をつくりだすワーク
4 さまざまな法的場面における実践
28章 医療のエスノメソドロジー 前田泰樹
1 エスノメソドロジーと医療のワークの研究
2 現象に固有の方法に基づく分析指針
3 定式化実践としての医療
4 協働実践としての看護
29章 科学のエスノメソドロジー 中村和生
1 常識的合理性の研究から科学的合理性の研究へ
2 「科学知識の社会学」とエスノメソドロジー
3 様々なフィールドワークと多様な知見
30章 サッチマンとワークプレイス研究 水川喜文
1 テクノロジーのエスノグラフィーと状況的行為論
2 コンピュータ支援による共同作業(CSCW)とワークプレイス研究
3 エスノメソドロジーとテクノロジーのワークプレイス研究
31章 知識マネジメントとワーク研究 山内 裕
1 職場における知識のマネジメント
2 技術の導入
3 おわりに
32章 デザインとワーク研究 酒井信一郎
1 はじめに
2 情報共有をワークに埋め込む
3 エスノメソドロジーが寄与するテクノロジーのデザイン
4 デザインを実践に埋め込む
33章 「余暇とスポーツ」のエスノメソドロジー 酒井信一郎・岡田光弘
1 はじめに
2 社会学に「抜け落ちている何か」
3 スポーツのエスノメソドロジー
4 おわりに
文献
人名索引
事項索引