質的研究のための理論入門
ポスト実証主義の諸系譜
質的研究のための理論入門
ポスト実証主義の諸系譜
プシュカラ・プラサド 著
箕浦康子 監訳
A5版 376頁
出版社: ナカニシヤ出版
言語: 日本語
ISBN 978-4-779512-23-0
発売日: 2018/1/30
書籍内容
シンボリック相互作用論からポストコロニアリズムまで
研究の指針となる理論と実践の地図を提供する――
質的研究を生み出すさまざまな理論的系譜について、
その考え方、基本的概念、豊かで興味深い研究事例、
そして批判点についても的確に、そして明快に解説する。
本書では,全部で13の異なる学派が取り扱われている。各章では該当する学派の中心概念,主要な学者,重要な議論を検証する。研究実施や全体的な研究の方向性を左右する慣例が議論され,研究計画,データ収集,多様な読者に対しての発表の仕方についての適切な方法も述べられている。また,…既存の概念的,実証的研究事例について数多く報告し,分析し,コメントしている。(本文より)
目次
原著者の謝辞
01 技(わざ)としての質的研究:ポスト実証主義の諸系譜と研究スタイル(町惠理子[訳])
1 質的研究をおこなう場合のジレンマ
2 技としての質的研究:研究の諸系譜とスタイル
3 本書について
Ⅰ 解釈的アプローチの系譜
02 シンボリック相互作用論:自己と意味を求めて(浅井亜紀子[訳])
1 シンボリック相互作用論への哲学的影響
2 シンボリック相互作用論の中心概念
3 シンボリック相互作用論学派の研究例
4 シンボリック相互作用論における論争と新たな方向性
03 解釈学:テクストの解釈(山下美樹[訳])
1 解釈学の哲学
2 解釈学派の中心概念
3 解釈学派の研究例
04 ドラマツルギーとドラマティズム:劇場・舞台としての社会生活(伊佐雅子[訳])
1 ドラマツルギーの哲学的先駆者たち
2 アーヴィング・ゴフマンとドラマツルギー
3 ドラマツルギー学派の研究例
4 ケネス・バークとドラマティズムの哲学
5 ドラマティズム学派の中心概念
6 ドラマティズム学派の研究例
05 エスノメソドロジー:日常生活の成り立ち(時津倫子[訳])
1 エスノメソドロジーの理論と哲学
2 エスノメソドロジーの中心概念
3 エスノメソドロジー学派の研究例
4 エスノメソドロジーの貢献と限界
06 エスノグラフィー:ネイティブの文化的理解(村本由紀子[訳])
1 エスノグラフィーにおける人類学の遺産
2 古典的エスノグラフィーの中心概念
3 非正統的なエスノグラフィー諸派
4 エスノグラフィーの研究例
5 エスノグラフィーの系譜における論争と新たな方向性
Ⅱ 深層構造に着目する系譜
07 記号論と構造主義:社会的現実の文法(藤田ラウンド幸世[訳])
1 記号論の哲学
2 記号論と構造主義における中心概念
3 記号論的アプローチの研究例
4 構造主義の最近の動向と発展
Ⅲ 批判的アプローチの系譜
08 史的唯物論:階級,闘争,そして支配(岸磨貴子[訳])
1 カール・マルクスの哲学
2 史的唯物論の中心概念
3 史的唯物論に基づいた研究例
4 史的唯物論における批判と論争
09 批判理論:ヘゲモニー,知の生産,コミュニケーション行為(灘光洋子[訳])
1 批判理論の哲学
2 批判理論の中心概念
3 批判理論学派の研究例
4 批判理論についての論争と新たな方向性
10 フェミニズム:中心的社会原則としてのジェンダー(岩田祐子[訳])
1 フェミニスト理論と哲学
2 フェミニスト学派の中心概念
3 フェミニスト学派の研究例
4 フェミニスト学派における論争と新たな方向性
11 構造化と実践の理論:権力という枠組のなかでの二元論を超えて(谷口明子[訳])
1 アンソニー・ギデンズと構造化理論
2 ギデンズの構造化理論の中心概念
3 構造化学派の研究例
4 ブルデューの社会理解と社会研究
5 ブルデューの実践の理論における中心概念
6 ブルデューの実践の理論を用いた研究例
Ⅳ 「ポスト」がつく諸学派の系譜
12 ポストモダニズム:イメージおよび「真なるもの」との戯れ(小高さほみ[訳])
1 リオタールとポストモダンの知
2 ボードリヤールとポスト近代社会
3 ポストモダン学派の研究例
4 ポストモダン学派における批判と論争
13 ポスト構造主義:言説,監視,脱構築(時津倫子[訳])
1 脱構築の哲学
2 脱構築における中心概念
3 フーコーの知の考古学と知の系譜学
4 フーコーのポスト構造主義の中心概念
5 ポスト構造主義の研究例
6 ポスト構造主義への批判
14 ポストコロニアリズム:帝国主義を読み解き,抵抗する(町惠理子[訳])
1 ポストコロニアリズム伝統の出現
2 ポストコロニアル学派の中心概念
3 ポストコロニアル学派の研究例
15 結論:伝統,即興,質のコントロール(柴山真琴[訳])
1 質的研究における伝統と即興
2 研究の質のコントロール:個々人の主体性
3 研究の質のコントロール:ゲートキーパー
4 質的研究をつくる喜び
参照文献
監訳者あとがき