多文化共生保育の挑戦
多文化共生保育の挑戦
外国籍保育士の役割と実践
( )
A5版 208頁
出版社: 明石書店
言語: 日本語
ISBN 978-4-7503-5050-9
発売日: 2020/7/19
書籍内容
外国籍児の育ちを保障するためにはどうしたらよいのか。在日外国人集住地域の群馬県大泉町での現状や課題を丹念な聞き取り調査から描き出す。多文化コミュニティにおける外国人の子どもの発達の鍵を握る外国籍保育士の役割や実践について新たな可能性を探る。
本書は、こうした実態の中に、媒介者としての機能をもった外国籍保育士が入ることで、多文化共生保育の営みがどのように変容していくのかを捉えている。外国籍保育士が勤務する保育園への継続した参与観察をとおして、筆者自身の目と耳と心で捉えた実践事例を具体的に示しながら論じることを試みた。ニューカマーの第2世代である外国籍保育士の実践事例は、大変貴重なものと考えらる。
(中略)
本書が、多文化共生保育の現場でさまざまな課題と対峙している保育者、これから保育者となる学生、研究者、自治体職員など、多文化共生保育に関心のある方々のお役にたてれば幸いである。(はじめに より)
目次
はじめに
第Ⅰ章 多文化共生保育のあり方を示すために
第1節 多文化共生保育に目を向ける必要性
第2節 求められる保育士の専門性
第3節 群馬県大泉町で働く外国籍保育士
第4節 外国籍保育士の役割を明らかにすることの意義
第5節 仮説とリサーチクエスチョン
第6節 使用する用語の定義
第Ⅱ章 多文化共生の理念と歴史
第1節 多文化共生の理念
(1)多文化共生の定義とその変遷
(2)多文化共生における課題
(3)多文化共生の理想的モデル
第2節 多文化共生の歴史
(1)アメリカ合衆国における多文化共生の歴史
(2)わが国における多文化共生の歴史
(3)在留外国人の歴史
(4)日系ブラジル人移民の歴史
第Ⅲ章 多文化共生保育における現状と課題
第1節保育現場における多文化共生の課題
第2節 多文化共生保育における言語コミュニケーションと母語の重要性
第Ⅳ章 群馬県大泉町の多文化共生実践
第1節 群馬県大泉町における多文化共生の歴史
第2節 群馬県大泉町における遊び広場の活動
(1)活動の変容とその意義
(2)遊び広場の活動がもたらしたもの
第3節 群馬県大泉町における多文化共生保育
(1)外国籍児の保育の現状と「日本人化」
(2)大泉町の多文化共生保育に関する行政支援
(3)大泉町における保育現場の課題
第Ⅴ章 群馬県大泉町で働く外国籍保育士のライフヒストリー
第1節 外国籍保育士による支援が外国籍児の保育園適応に及ぼす心理的効果
(1)フィールドワーク
(2)外国籍保育士による媒介者としての支援とその意味
(3)外国籍保育士による母語を用いた保育支援がもたらしたもの
第2節 外国籍保育士の役割と、それに伴う保育現場の意識変容
(1)インタビュー
(2)外国籍保育士の取り組みとその効果
(3)外国籍保育士が保育現場に与える影響
第3節 外国籍保育士のライフヒストリー
(1)ナラティブアプローチ
(2)外国籍保育士の語りから見えたもの
(3)「周辺化されている自分」から「当事者性」を獲得するまで
第Ⅵ章 多文化共生の先進国ドイツから学ぶ就学前教育
第1節 ドイツにおける就学前教育の実態
第2節 大泉町と類似点の多いノルトライン=ヴェストファーレン州への訪問
第3節 ノルトライン=ヴェストファーレン州における就学前教育制度
(1)ドイツにおける就学前教育
(2)ノルトライン=ヴェストファーレン州における教育指針
(3)ケルン市青少年局での聴き取り調査
第4節 ノルトライン=ヴェストファーレン州保育施設の多文化共生保育の実際
第5節 わが国における多文化共生保育への示唆
第Ⅶ章 外国籍児の育ちを保障する多文化共生保育とは
第1節 多文化共生社会の理念と歴史とはいかなるものか
第2節 多文化共生保育の現状と課題とはいかなるものか
第3節 群馬県大泉町における多文化共生保育の現状と課題とはいかなるものか
第4節 当事者としての外国籍保育士の役割とはいかなるものか
第5節 外国籍児の育ちを保障する多文化共生保育実現に向けて
おわりに
引用文献
参考文献